高校ラグビーの世界的登竜門「サニックスワールドユース」とは

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サニックスワールドユースは福岡県のグローバルアリーナで毎年ゴールデンウィークに行われる、高校ラグビーの国際大会。

高校単独チームによる国際大会は、世界で唯一であり、世界的にも評価されている。

国内の各チームとイングランド、ニュージーランド、南アフリカなどの強豪国の海外チームが頂点を目指して争う大会。

サニックスワールドユースの概要

参加校

国内8チーム、海外8チームの計16チームが出場し頂点を争う。

国内チームは、前年度の花園ベスト4チーム、予選会優勝チーム、九州協会推薦チーム(九州以外の高校も推薦される)が出場する。

海外チームは大会本部が声をかける各国協会の推薦チームが出場する。

いままでに海外からは、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、イングランド、スコットランド、アイルランド、フィジー、フランス、ウェールズ、イタリア、トンガ、サモア、カナダ、ウルグアイ、ロシア、台湾、韓国、中国、香港の計19カ国が参加したことがある。

そして、プレイヤーとしてではないが毎年サニックスワールドユースに花を添えてくれるのが、スコットランドから遥々やって来るバグパイプバンド。王室からトロフィーを授与されるほどの中高生ワールドチャンピオンの演奏は、試合を見に行くなら、ぜひここにも注目してみてほしい。

予選会

予選会については下記ページに詳しく取り上げている。

大会プログラム

4チームごとの予選リーグ

大会はまず参加16チームが4チームずつに分けられて、各pool総当たりで順位を決める。この各poolは国内2チーム、国外2チームと平等に国際交流ができる割り振りとなっている。

そして各チーム1日1試合、3日間で予選リーグの試合を消化する。

上位2チームは決勝トーナメントに進出でき、下位2チームは9~16位決定トーナメントに回る。

サニックスワールドユース 予選リーグ例
予選リーグの1例(2019.poolBの様子)
https://sanix-sports.info/rugby/?cat=111より引用

トーナメント

予選リーグを終えると、すぐにトーナメント戦に入る。

トーナメントは、勝たないと上に進めないが負けたらそこで終わりの一発勝負ではない。というのも、1~16位の順位を確定させるので、負けたとしても負け同士の試合が組まれているからである。そのため、全チームが大会を通して同じ6試合が消化できることとなっている。

トーナメントの1例(2019.上位トーナメントの様子)
https://sanix-sports.info/rugby/?cat=111 より引用

エキシビションゲーム

国際大会であるため、どのチームの勝ちにこだわって参加している。そのため、遠路はるばる宗像に来たにもかかわらず出場できない選手がどうしてもいる。

その選手たちに出場機会を与えてあげようと2018年に出場機会が少ない選手で編成されたチームで戦うエキシビションマッチが始まった。

このエキシビションマッチは、それぞれのチームの選手が味方同士になって戦うのでまさに国際交流の試合であると同時に、日頃出場している選手が出場機会の少ない選手をサポートしたり応援したりする試合なのでとても心が温まる試合だ。

こういう心温まる試合の観戦は、この大会のこの試合のみだと思うのでぜひ観戦してほしい。

そして大会本部には、ぜひこのイベントを続けてほしい。

歴代優勝校

大会年男子15人制
2019ポール・ルース・ジムナジウム(南アフリカ)
2018ヘイスティングス・ボーイズ(ニュージーランド)
2017レセ・ボルデバッス(フランス)
2016グレンウッド(南アフリカ)
2015ポール・ルース・ジムナジウム(南アフリカ)
2014ハミルトン・ボーイズ(ニュージーランド)
2013セントケンティガン・カレッジ(ニュージーランド)
2012ケルストン・ボーイズ(ニュージーランド)
2011ハミルトン・ボーイズ(ニュージーランド)
2010ハミルトン・ボーイズ(ニュージーランド)
2009ダックス・ランド(フランス)
2008グレンウッド(南アフリカ)
2007ウェストフィールズ・スポーツ(オーストラリア)
2006クライストチャーチ・ボーイズ(ニュージーランド)
2005クライストチャーチ・ボーイズ(ニュージーランド)
2004ロトルア・ボーイズ(ニュージーランド)
2003ロトルア・ボーイズ(ニュージーランド)
2002ボーランド農業(南アフリカ)
2001グレー・カレッジ(南アフリカ)
2000キングズ・シドニー(オーストラリア)

各国優勝回数は、ニュージーランド10回、南アフリカ6回、フランス2回、オーストラリア2回とラグビー強豪国が順当に優勝を重ねている。

ニュージーランドがけた違いに優勝回数が多いのは、海外チームは各国に推薦チームの選定を任せているため、必ずしもチャンピオンチームが来るわけではないのだが、ニュージーランドは毎年チャンピオンチームが出場しているためだという見方もある。

そして、南アフリカは国の上位チームが来日した時は恐ろしく強い。2015年に来日した南アフリカのチームは、大会を通して1トライしか許さなかった(東福岡が予選で取った1トライのみ)。

決勝のスコアは35-3とまさに圧勝。南アフリカが上位チームを送り込んできたときは大会がより面白くなるので、ぜひ確認してから試合を見てみるといいだろう。

2019年は8月時点で国内4位のポールルースジムナジウムが来日して、ワールドユースを制している。

そして、国内チームだが見ての通りまだ優勝はない。東福岡が3回、仙台育英が1回準優勝したことあるのだが、それが最高順位となっている。

国内チームと国外チームの差

国内チームは優勝こそないものの完全に負けているというわけではない。

規律の正しさを筆頭にラインアウトからのモールなどのセットプレーでは、他のどのチームよりも優れている部分はある。しかし、個を中心に戦ってくる相手に慣れていないのか、1vs1部分での差はどうしても見受けられることが多い。

同世代の日本人にはないフィジカルとテクニックを持った相手と高校生のうちに、しかも国内で体験できるのは本当にいい経験だと思う。

優勝するチームには、規律も個も目立つところが多いので、勉強になる。

決して国内チームも負けてはいない。

高校ラグビーにおける位置づけ

今でこそ夏にセブンスの大会(アシックスカップ)があり、選抜、花園と並んで、国内三冠とまとめられることが多いが、アシックスカップが行われるまでは、サニックスワールドユース、花園、選抜で国内三冠といわれるほど重要な大会だった。

高校は国内の大会で優勝することを大きな目標として掲げているが、強豪校の中には今後のラグビー日本代表を背負っていく選手がいる。そんな選手たちにグローバルな視点を持ってもらい、世界での自分たちの立ち位置などを知ってもらい更なる高みを目指すための重要な大会となっている。

国内で3連覇を果たした、東福岡もサニックスワールドユースでは決勝で南アフリカの高校に、ノートライの6-45で敗れているため、世界を知るという意味で間違いなくわかりやすい指標だ。

世界的にも評価の高い大会

冒頭にも述べたように、国などを背負って戦うわけではなく、所属の高校で出場できる高校生の国際大会は、サニックスワールドユースが世界で唯一であるため、20年の歴史の中で世界的にも広く認知されている。

そして、南アフリカやニュージーランドといった強豪国のトップ校が優勝を目標に掲げるほどの国際的にも重要な大会となっている。

20年という歴史の中で、この大会を経験した各国の代表選手が出てきている。

サニックスワールドユース出身の各国代表選手

日本

2019ワールドカップ出場選手

名前出場校出場年
山中亮平東海大仰星2006
松島幸太郎桐蔭学園2008.2010
坂手淳史京都成章2009.2010.2011
松田力也伏見工業2012
ティモシーラファエレデラセラカレッジ(ニュージーランド)2009

2015ワールドカップ出場選手

名前出場校出場年
五郎丸歩佐賀工業2002.2003
畠山健介仙台育英2002
木津武士東海大仰星2006
藤田慶和東福岡2009.2010.2011
松島幸太郎桐蔭学園2008.2010

ニュージーランド

2019ワールドカップ出場選手

名前出場校出場年
マットトッドクライストチャーチボーイズ2005
セヴリースクライストチャーチボーイズ2014

歴代オールブラックス

名前出場校出場年
ベンフランクスアラヌイハイスクール2000
オーウェンフランクスクライストチャーチボーイズ2005
コリンスレイドクライストチャーチボーイズ2005
チャーリーナタイギズボーンボーイズハイスクール2008
ダルトンパパリイセントケンティガンボーイズ2013

オーストラリア

2019ワールドカップ出場選手

名前出場校出場選手
セコペケプウェズリーカレッジ2002
ロブシモンズサウスポートスクール2005

イングランド

2019ワールドカップ出場選手

名前

出場校

出場年

ジャック・ノーウェル

トルロカレッジ

2010

ルークカーワンディッキー

トルロカレッジ

2010

エリスゲンゲ

ハートブリーカレッジ

2013

ベンスペンサー(追加招集)

アイヴィーブリッジコミュニティカレッジ

2009

アイルランド

2019ワールドカップ出場選手

名前出場校出場年
ジョナサンセクストンセントマリーズカレッジ2002
ジョンライアンクリスチャンブラザーズカレッジ2006

スコットランド

2019ワールドカップ出場選手

名前出場校出場年
ジョンバークレーダラーアカデミー2004
ブレイドトムソンギズボーンズボーイズハイスクール2008

南アフリカ

歴代スプリングボクス

名前出場校出場年
ルアンピナールグレーカレッジセカンダリースクール2001
ビスマルクデュプレッシーグレーカレッジセカンダリースクール 2001
アンドリースストラウスグレーカレッジセカンダリースクール 2001
JPピーターセンエルメロハイスクール2004
ジュリアンレデリングホイスモニュメントハイスクール2006
ダミアンヴィレムセポールルースジムナジウム2015

フィジー

2019ワールドカップ出場選手

名前出場校出場年
サムマタベシトルロカレッジ(イングランド)2010

サモア

歴代マヌサモア

名前出場校出場年
JJタウランギデラセラカレッジ2009

トンガ

2019ワールドカップ出場選手

名前出場校出場年
ナシマヌクライストチャーチボーイズ(ニュージーランド)2005.2006
パウラヌガウモアクライストチャーチボーイズ(ニュージーランド)2006.2007
シティベニアフィウエストフィールズスポーツハイスクール(オーストラリア)2007
レオンフコフカケルストンボーイズカレッジ(ニュージーランド)2012

ウルグアイ

2019ワールドカップ出場選手

名前出場校出場年
ホゥアンマヌエルカトブリティッシュスクール2014
サンティアゴシヴェッタブリティッシュスクール2014
マヌエルレインデカーブリティッシュスクール2014

その他、イタリア、ロシア、台湾、アメリカ、ウェールズ、韓国代表を務めた選手もサニックスワールドユースに出場したことがある。

まとめ

サニックスワールドユースが日本で開かれていることは、日本の高校ラガーマンにとって大きなことだが、ラグビー好きの私たちにもとてもありがたいことである。

ぜひ、宗像まで足を運んで観戦してみてほしい。

未来の日本代表のみならず、未来のオールブラックスのプレーを見ることができるかも。

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