ラグビーはなぜトライというのか
「トライ」という言葉の意味
現在、ラグビーでは、トライをすることで5点、その後キックを蹴ってゴールに入れば2点追加というのが基本の得点方法です。
では、「トライ」という言葉の意味を確認してみます。
「トライ」は、挑戦するという意味です。言葉の意味を確認しただけでは、「ラグビーのトライは何に挑戦しているの?」とますます疑問が大きくなるだけですよね。
このトライという言葉を使っている理由は、現在のラグビーの得点方法ではなく、昔のラグビーの得点方法を知ることでわかるようになります。
ラグビーの歴史から「トライ」の意味を探る

昔はトライをしても得点にはならなかった!?
ラグビーが始まった当初は実はトライをしても得点にはなりませんでした。なので、10トライを取ったチームと、1トライを取ったチームでも、トライを取っただけでは引き分けでした。
では、何で勝敗を決めたのかというと、トライ後のキックです。
キックを何本入れたかで勝敗が決まっていました。
「トライ」とはキックに挑戦するという事からきた言葉
先ほども言ったように、キックで勝敗がつくのですが、キックを蹴るためには「トライ」を決めなければいけません。なので、キックに挑戦する権利を取るという意味で、「トライを取る」と言われるようになったのが「トライ」の語源です。
「トライ」の扱いは徐々に変わっていった
現在では「トライ」を取ると5点、キックを入れると2点ですが、昔はトライは0点でした。
なので昔のルールでの極端な例を挙げるとすると、10トライを取ったが1本もキックを決めれなかったチームと、1トライしか取れなかったが1本キックを決めることができたチームでは、後者のチームの勝利となっていました。
しかし、トライをする過程に魅せられた先人たちがトライにも得点を与えるようになりました。
そして今ではトライの得点のおまけでキックの得点のような扱いなので、トライの意味が分かりにくくなりましたが、ラグビーの歴史を紐解くと言葉の意味がすぐに分かります。
ラグビーの得点配分の歴史
ラグビーの得点配分の歴史を表にまとめる。
年表 | トライ | コンバージョンキック | ペナルティーキック | ドロップゴール | マークからの得点 |
---|---|---|---|---|---|
1871–1875 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 |
1876–1885 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 |
1886–1891 | 1 | 2 | 3 | 3 | 0 |
1891–1894 | 2 | 3 | 3 | 4 | 4 |
1894–1904 | 3 | 2 | 3 | 4 | 4 |
1905–1947 | 3 | 2 | 3 | 4 | 3 |
1948–1970 | 3 | 2 | 3 | 3 | 3 |
1971–1977 | 4 | 2 | 3 | 3 | 3 |
1977–1991 | 4 | 2 | 3 | 3 | 0 |
1992– | 5 | 2 | 3 | 3 | 0 |
この歴史の中での大きな転換点はいくつかあります。
1948年にドロップゴールが4点から3点に減点されたこと。
この時までは、ドロップゴールでの得点が一番大きかったためにドロップゴールを狙う試合になっていたそうで、ゲーム内容が非常に淡白なものとなっていたそうですが、この減点によってラグビーの面白さが復活したそうです。
マークからの得点がなくなったこと。
昔は自陣の22mラインの内側のみでなく、コートのすべてでマークができました。そして、そのマークした地点から、プレースキックもしくはドロップゴールで得点することができましたが、マークの基準が今より厳しかったために、ゴール付近でのマークはあまり発生しなかったため、得点からなくなったそう。
マークからの得点がなくなる1977年の前に、最後に国際試合でマークからの得点が記録されたのは、6年前のフランス対ルーマニアの試合でのフランスの得点だったので、得点方法からなくなって、マークのルールが変更されたのも納得がいきますね。
コンバージョンキックの由来について

「コンバージョン」の意味
「トライ」にもちゃんと言葉の意味通りの意味があることを確認したら、気になってくるのはトライ後のキックである、「コンバージョンキック」。
「コンバージョン」の意味は、転換。
ですが、トライ後のキックで点が追加されるこの動作になぜ「コンバージョン」(転換)という意味がつけられたのでしょうか?
「コンバージョンキック」の由来
コンバージョンキックの由来も歴史を紐解くことでわかります。
現在のルールでは、おまけの得点のような扱いをされているコンバージョンキックですが昔は違いました。
昔はトライで5点、コンバージョンキックが入ればトライはなしにして、キック成功の7点が与えられるというルールでした。(得点は現在のものにして説明)
今と結局はいる点数は同じ事なのですが、昔はこうだったのです。だから、キックが決まればトライの点数をキックの点数に転換するという意味でコンバージョンキックという名前が付いています。
まとめ
ラグビーには様々な用語がありますが、言葉なのでちゃんと意味があります。
もし、ラグビーの言葉を覚えたいという方や、意味が分かったほうが楽しく観戦できるという方はこういったことを知っておくと面白いと思います。
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